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滝谷C沢右俣奥壁雲表ルート

久し振りに長いアルパインルートを登り、とても充実したのでたまには山行記録でも書こう思い、記録を残します。北穂高滝谷C沢右俣奥壁雲表ルートの記録です。

滝谷の最奥の壁と言っても良いくらいC沢を詰めて行き、トポ上では5ピッチⅣA1ルートになります。どのピッチも面白くて、楽には登れないこのルートですが、残置無視で行けたらもっと充実するだろうなと思いました。僕には無理でしたが。。。以下記録です。

日時:2021324

【概要】

避難小屋から取り付きまではデブリをアプローチする。3日前までサラサラでアプローチがかなり楽だったらしいが、この2日間でデブリができたようだ。

雄滝は半分ほど露出していたが、ロープを出すほどではなかった。その上の滑滝も露出していた。滑滝をまで見たのは初めてだった。

合流点からはデブリもなくなり、良く締まった雪面をアプローチしていく。C沢とB沢の合流点に先行パーティーのデポ品を確認し、C沢を詰めていく。ここら辺りから、陽が差し込んでくるが、危険箇所は早々に通り過ぎたので問題ない。途中、4尾根を登るパーティーが保坂くんと、塩谷くんのパーティと判明。

C沢奥壁はどん詰まりまで詰めていくと、周りを迫力ある岩壁に囲まれる。ここが取り付きになる。雲表ルートは真正面の凹角。

滝谷C沢右俣奥壁雲表ルート_c0206900_21530142.jpg

ラインは2つ取れそうだが、プロテクションの取れそうな右のラインを攻めることにした。

ちなみに人工のダイレクトルート?は凹角のすぐ脇にあり、リングボルトが連打されている。

順番は恒例のじゃんけんで。リード順は種石〜青木の順になった。

1ピッチ目 Ⅳ+:種石リード35m(フォローの青木の感覚での記錄)

出だしから脆そうで思った以上に悪い。プロテクションも取りづらそうだったが、的確にランナーを取り、徐々に高度を上げていった。アックスは草付きに刺し、充分に刃が効いている箇所を選びながらズリズリと這い上がっていく。一箇所狭いムーブを起こす。ここが脆い岩と泥とが混雑して、目や口に入りむせる。最後に左へトラバースするところがハイライト。ここぞというところに残置ハーケンが叩き込まれていて、先人の方、分かっていらっしゃる!と敬意の念を込めてヌンチャクを回収した。

滝谷C沢右俣奥壁雲表ルート_c0206900_21540980.jpg

2ピッチ目 Ⅳ A1:青木リード55m

トポでは「氷のスラブを〜」と表記されているが、氷はほぼなく、アイゼンを削らないようにスラブに立ち込む。といってもそんなシビアなスラブではない。ハング部分を左から超えていくところで少々トリッキーな感じになるがここもなんてことはない。核心と思われるクラックはトルキングとフッキングを駆使しながら登っていく。先人の残していった残置ハーケン達は錆つき、ひん曲がっているもの達が多いが、耐えてくれそうなものにヌンチャクをかける。最初は残置無視で行ってみようと思っていたが、早々にクリップしてしまったので先人の恩恵に感謝しながらフリーでの突破を試みた。久しぶりのドキドキとワクワクとピリッとくる感覚が思い出されて、これこそ求めていたもの!と37歳を手前に子供の頃に夢中になった木登りの感覚が嬉しくてたまらなくなった。核心はこのクラックへのトルキングかと思っていたが、本当の核心は草付きへのダブルアックスであった。高度感もありアックスが抜けそうで足も悪く、神経を擦る。意識をアックスの先端とアイゼンの先端に集中させ、スタンスのアイゼンの刃が動かぬようにハイステップをする、現在の言葉でいうなら「全集中の呼吸」もしくは「領域展開」といったとこだろう。今シーズン最初で最期の本気ムーブを起こして突破した。傾斜が緩くなったところでさらに15mほど伸ばし眺めのいい岩の上でビレー点をとった。


3ピッチ目Ⅳ+:種石リード60m(フォローの青木の感覚での記録)

露出した傾斜の緩い岩を上部に聳える立つ岩壁に向かって登っていき、流れるように右上し、薄氷のベルグラのコーナーを登っていくルート。

右上するコーナーのベルグラは、滝谷の最上部にこんなコーナーがあるのか!とちょっと感動してしまった。氷がバッチリ張り付けば快適なベルグラの登攀になるだろうが、今回は少し薄すぎた。左のコーナーからカムやトライカムなどでプロテクションをうまく取り突破していったようだ。薄氷に乗せたアイゼンの刃は氷の壊し、体幹と前腕でフォールに耐える。的確にプロテクションを取っていくのはもはや職人技である。ここもリードだったら燃えること間違いなし!

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このピッチで2ピッチ分稼ぎ、実質3ピッチの登攀でロープを解く。縦走路に1730着。松濤コルから下降。松濤のコルまでは縦走路を北穂方面へ向かい、×(ばってん)マークの岩から右へ回り、急な雪壁のトラバース。その後、一回懸垂をして松濤のコルに降り立つ。P1の尾根を跨いでC沢左股最上部に合流しそのまま忠実に沢を下っていく。安全に下山に至る。露出した滝は安全を考慮して懸垂下降。避難小屋から新穂高までダラダラと歩き、駐車場に着いた頃にはへばっていた。よい登山だった。


# by timmy-climber | 2021-03-28 22:47 | アルパインクライミング

肩関節唇手術後の記録10 術後7ヶ月

本日、手術後の7ヶ月の診察へ。
今現在のクライミング状況は肩の違和感は少しだけ違和感を感じるくらいで結構登れています。もちろん片手でぶら下がったりランジ(飛びつき)はできませんが。
先生からも、順調なので無理のないように登っていきましょうと言われました。片手懸垂やランジは最終段階だからまだやっちゃダメと言うことでした。
兎にも角にも、ここまで回復してくると手術直後の辛さなんて思い出せないし、忘れてしまった。人間ていいようにできてるなー。
先生からは徐々に登っていきましょうと言われたけど、すでに結構登っていたのも事実。先週は城ヶ崎で軽めに登った。
最近はリードクライミングもしっかりできるようになったので今年も目標持ってトレーニングをしていきたい。
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# by timmy-climber | 2021-02-24 17:40 | 肩関節唇損傷

肩関節唇手術後の記録⑨ 術後5ヶ月

今日は術後5ヶ月の診察へ。
とりあえず順調とのこと。筋トレもレベルを上げてやっていきましょうと言われ、懸垂を足ブラで行えることになった。ただし、肘は余裕を持って曲げている状態で。
クライミングも、デッドムーブやランジ、強傾斜でのトレーニングは不可。肩の経過はは順調だけどすぐ逝っちゃうからねと念を押されました。

とにかく先生からの言葉はポジティブだったんで一安心。
2020年は過渡期となったが悶々とした日々も過ぎてしまえば前の課題を見るだけ。完全復活は程遠いけど、来年度のクライミングに向けて身体作りに励んでいこうと思う。

2021年も宜しくお願いします。

My son is ready for winter climbing.
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# by timmy-climber | 2020-12-23 18:09 | 肩関節唇損傷